こんにちは。こども・若者の居場所づくり座の中西美裕です。
3月7日(金)19:30~21:00の日程で1年間の集大成となる第1回ワークショップを行いました。
会の構成は、共同座主の伊熊さん(くまちゃん)からこどもの居場所の政策的背景(位置付け)についての話や、OECDシニアアナリストの田熊美保さんからの基調講演、3つの現場実践者からの報告を元に、参加者同士でいかにこどものの声を聞き、こどもの居場所を作ることができるのかといった点についてグループディスカッションを行いました。
以下では私が特に重要だと思った点についてまとめていきます。
基調講演 OECDシニアアナリスト 田熊美保さん
田熊さんのお話では、学校と「居場所」を二項対立になってしまっているのではないかという課題感をご提示いただき、学校こそが子どもにとって安心安全な場になることはできないのかという視点を持つことができないかと投げかけられました。ウクライナの学校の事例を取り上げながら、学校がこどもたちにとって行きたいと思える安心安全な場になることができる可能性について述べられ、本ワークショップの参加者は「居場所」でそうしたノウハウがあるからこそ、学校で安心安全に過ごせることへの応用可能性を期待している旨をお話しいただきました。
一般社団法人Spice 小牧瞳さん【ちばユースセンターPRISM】
小牧さんからはユースセンターのPRISMについて、理念や立ち上げの経緯についてお話しいただきました。高校生の「室内で友達と喋れる無料の場所がほしいな」という声が、立ち上げの原動力となってきたとのことで、開館に向けて内装やロゴのワークショップを何度も開催し、運営メンバー以外の若者も積極的に巻き込みながら「こんな居場所にしたい」を叶えてきました。不登校支援といった看板はあえて掲げずに開放していることを強調しており、子どもたちが安心して自由に過ごせる場を作っています。その一方で、特別な支援の強調を掲げている支援機関の必要性も言及し、「交通費の払える範囲で、子どもたちが自由に行き来できる場を作りたい」と述べていました。
聖隷クリストファー大学 鈴木光男先生、アルテ・プラーサ 坂田芳乃さん
【アーティストとスクールマッサージ】
鈴木先生は、教育現場(学校)が硬くなってしまっている現状を指摘し、データを元に約25年間の日本の学校の現状を振り返りました。
坂田さんからは、静岡県三島市の実践を紹介として「KIDS ARTWEEKS」の内容をご紹介いただきました。これは、2週間小学校をアートでいっぱい(作品展示、アーティストトーク、ワークショップ、鑑賞授業などの開催)にするという実践で、活動を通して、自分が他の人と違っても良いと受けいれるような感覚を持ってもらえたような気がすると話しておられました。さらに、活動を通して学校の先生にも変化が見られ、こどもの作品への評価を含めた接し方について再検討する機会になったりしました。
鈴木先生は学校で抑制されているこどもたちを解放する役割が上記のアートプロジェクトにはあったと捉えており、教員やこどもたちを揺らすこと(硬さをやわらげていくこと)が重要だと述べていました。
一般社団法人栃木県若年者支援機構 中野謙作さん
長年伴走支援の現場に関わってきた中野さんからは、栃木県根沢町のフリースペース「ひよこの家」教育支援センター(適応指導教室)での活動を振り返りながら報告してもらいました。学校から2キロ以上離れた場所を探してオープンさせた「ひよこの家」は、こどもの声に合わせて町の予算を使いながら形を変えてきたといいます(給食、多目的スペース、学習スペースの設置など)。その中でも特に、表面的な学校復帰を目指さないことを大切にしており、徹底的に寄り添うことで中には「また学校行こうかな」という子どももいました。さらに、就労支援もやる中で農業等の中間就労支援にも携わっており、そこで働く若者を見ていると働く場も居場所になり得るのではと述べていました。こうした長期的な伴走支援に携わる中で、子どもが自分の意見を言える場を作ること、その声を聞いて反映させてくることが大事ではないかとお話しされていました。
いずれも貴重な実践のお話であり、グループディスカッションでは「学校との二項対立にならないよう」どのように考えていけば良いかについて活発に意見が交わされました。こどもの声を聞くというのはとても重要でありながら、それを実践していくことは容易ではないことを改めて感じ、しかし考え続けることの重要性も再確認しました。
今回このような貴重な機会をご用意くださった居場所座の皆様、また素敵な発表をしてくださった実践者の皆様、本当にありがとうございました。これからも、こどもたちの居場所がより良いものとなるにはどのようなアプローチ・実践が必要かについて、議論を深めていけたらと思います。
