みなさん、こんにちは!わたしたちは2023年12月に発足したばかりの、北海道の壁のない遊び場-bA-です。名称は『北海道あそび座』で、愛称がEzo座(エゾ座)といいます。どうぞよろしくお願いします。
2024年3月10日(日)に、北海道あそび座(Ezo座)主催のワークショップ(以下、WS)が開催されました。当日は初春にも関わらずの大雪で、会場となった北海道武蔵女子大学・短期大学は美しい雪景色でした。短い告知期間にも関わらず、参加者はオンライン含めて41名と盛会となりました。参加者は多様で、年齢も下は5歳から上は65歳までと幅広く、地域も札幌圏だけでなく日高町など各地からお越しいただきました。また、なんと7名は東京からの参加となりました。広がるつながるを体感したWSです。
北海道WSでは『つくる観のアップデート』をめざし、「みんなでつくるをたのしもう」をテーマとしました。発足したての北海道あそび座にとって、3月WSはいわばキックオフイベントとなりました。当日は丸一日をかけて3つのプログラムが開催され、いずれも多様な「つくる」を体現した時間となりました。
○1)「みんなのウェルビーイングな公園をつくろう」
○2)「学びは誰のもの〜自分たちの手で教室変えてみた」
○3)「学校内でのLGBTAQ」
以下では、各プログラムのファシリテーターによる報告レポートを掲載します。
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【プログラム1】「みんなのウェルビーイングな公園をつくろう」
・内容:子どもから大人まで対象として、ウェルビーイングを意識した公園を、ブロックを使用して実際につくり上げていきました。
・ファシリテーター:田村晶子(札幌市立学校教員)
「みんなでつくるをたのしもう」をテーマにした北海道遊び座ワークショップ。1つ目は「みんなのウェルビーイングな 公園をつくろう」と題し、約30名のみなさんと一緒に楽しい時間を過ごしました。本ワークショップには2つのコンセプ トがありました。
第一は、「私たちの Well-Being」を共創する場にすることです。「わたし」のウェルビーイングと、「あなた」のウェ ルビーイングを合わせたら…?みんなのウェルビーイングは、みんなでつくることができるのでは…?ブロックを使い、 お互いに自分が思う理想の公園を持ち寄って、1つの大きな公園をつくるというワークを通してその共創を体感する ことができました。
第二には、世代の壁を越えて、誰もが社会の作り手である「私」を大切にしたいと思える場にすることです。5歳の 幼児さんから、小学生、高校生、大学生、大人が混ざったグループで、グランドルールを意識しながら「みんなでつく る」時間を過ごしました。みんなでつくった公園には、「私」「あなた」以外にも色々な人(生き物)が遊びにきます。み んなにとって公園が「より良く」なるためのアイディアを形にするとき、大人/子どもの壁はなく、誰もが社会の創り手 としてのエージェンシーを発揮していました。そして社会の中で「私」を大切にしてほしいという思いを込めて、最後に 「自分がこの公園に遊びに行くとしたら…?」という問いを立て、わくわくを共有しました。
オンライン参加のみなさんも、ジャムボードやチャットから活発に意見を発信してくだったり、ご自宅にあるブロック を使ってワークに参加してくださったりしながら場を共有することができました。ワークショップが終わったあともクリエ イティブな熱気が会場に溢れ、スタッフも含め「みんなでつくる」を存分にたのしんだ2時間になりました。ご参加くだ さったみなさま、ありがとうございました! (書き手:田村晶子)
【プログラム2】「学びは誰のもの〜自分たちの手で教室変えてみた」
・内容:学習当事者である高校生と、教職大学院生とが協力しながら、「自分たちにとって学びやすい環境や教室」を1年間考えてきました。プログラムの前半は高校生と大学生による活動の成果発表で、後半は参加者が学ぶ環境をデザインする参加型のプログラムとなっています。
・ファシリテーター:川俣智路(北海道教育大学 未来の学び協創研究センター 准教授)
「学びは私たちのものである」
皆さん、“学ぶ”と聞いたらどんなイメージですか?大変、つらい、がまん…。しかし、本当は“学ぶ”ことは楽しくて、わくわくして、自分の未来を変えられるものであるはずです。
このワークショップは、そんな本当の“学び”を自分たちの手に取り戻すべく、教室を自分たちにとってもっと学びやすく楽しい場所にすることに挑戦しました。まず、月寒高校の生徒さんが授業の一環で取り組んだ「教室を変えてみる」探究授業の報告を皆で聞きました。そのあとに、ブロックやイラストを用いて、“私たちのための学びやすい未来の教室”を考えてみる作業をしました。
参加した皆さんからは、様々な目的をかなえる、柔軟で大胆なデザインが提案されました(写真は参加者の作品の一部です)。何よりの収穫は、こうしたデザインを通じてひとりひとりにとって“学ぶ”ことが楽しくて、わくわくして、自分の未来を変えられるものに変わっていったことでした。つぎはこれを読んでいる皆さんと“学ぶ”ことを考えられることを楽しみにしています。(書き手:川俣智路)
【プログラム3】「学校内でのLGBTAQ」
・内容:高校生が中心となって企画したプログラムです。参加者が学校内でのジェンダーギャップを感じた瞬間についてディスカッションし、今後の未来に向けた解決法策を探っていくグループワークです。
・ファシリテーター:Kanon(富川高校3年生)
私たち高校生が担当したWS『学校内でのLGBTAQ』の目的は、(①当事者や周りの人間として理想や普通に向けた考えとは②教室の中・社会の中の関係を認め合う③ありのままでいられる社会・差別のない社会に向けて④自分ごとで考える。⑤違和感について気づける)について次のステップ・解決に向けた行動を共創しました。また性の多様性について考えを深めるため、対話のルール・大人のルール・こどものルールや富校バージョンの「追加ルール」を確認した上で、3つの議題(①学校内の差別はどのようなものがあるか。またなぜ差別はうまれてしまうのか②生徒側、学校側ができることを両者の立場に立って考えよう③みんなのりそうのしゃかいとは?どうやったらできる?)を元にグループごとでディスカッションを行いました。各議題において、各グループで「自分ごとで考える」事が出来ていたと思います。正解がないのはもちろん、各々の普通を押し付けずに様々な立場において、正解のない差別への理解が深まったと思います。私たちが多様性について考えていく上で多様性を尊重しつつ、自分ごとで考える、自分らしさを出していくこと。そして「自分らしさをみんなが受け止める事が大切だ」という考えに至りました。各グループの結論を大事にして、一人一人が行動するとこれからの社会がより良いものになると思います。(書き手:大倉隼翔)
北海道あそび座(Ezo座)では、3つのことを大事に準備を進めてきました。1つ目は「呼吸合わせ」です。個性ある一人ひとりが集まった活動ですから、OECDの掲げる理念に向けて各メンバーの想いや描くビジョンを共有することに最も時間をかけました。2つ目は「当事者意識と楽しさ」です。各プログラムの掲げた「ウェルビーイング」「学びの多様性」「LGB TQ」は、決して“どこかの誰かの物語”ではなく、常に“わたしが当事者”の事柄です。また、北海道あそび座はそこに“各自の楽しさ”が見出されることを大事にしています。3つ目は「垣根を超えた対話」です。今回WSの特徴の一つとして、大人と高校生との2名体制で座主を立てたことがあげられます。双方にホンネの対話が生まれるような場づくりを北海道あそび座(Ezo座)は今後も目指していきます。
最後に、高校生座主のkennyさんのメッセージを持って終わりたいと思います。
【高校生座主kennyのメッセージ】
こんにちは♪北海道あそび座高校生座長のKenny です!
当日会場に着くと、zoom会議でお話していた方々と初めてお会いできて胸が躍りました。私はEzo座に入って1番日が浅いのにも関わらず座長になり、責任やプレッシャーが大きい中での参加でした。今まで、私はイベントの企画運営に携わったことがありませんでした。そんな中ほんとにゼロベースからEzo座の仲間と作り上げた北海道WSが成功したこと、心から嬉しく思います。
[文章構成:明田川知美(北海道あそび座座主・北海道武蔵女子大学)]