こどもの〈声〉からはじまる居場所づくり

こんにちは。こども・若者の居場所づくり座の中西美裕です。

3月7日(金)19:30~21:00の日程で1年間の集大成となる第1回ワークショップを行いました。

会の構成は、共同座主の伊熊さん(くまちゃん)からこどもの居場所の政策的背景(位置付け)についての話や、OECDシニアアナリストの田熊美保さんからの基調講演、3つの現場実践者からの報告を元に、参加者同士でいかにこどものの声を聞き、こどもの居場所を作ることができるのかといった点についてグループディスカッションを行いました。

以下では私が特に重要だと思った点についてまとめていきます。

基調講演 OECDシニアアナリスト 田熊美保さん

田熊さんのお話では、学校と「居場所」を二項対立になってしまっているのではないかという課題感をご提示いただき、学校こそが子どもにとって安心安全な場になることはできないのかという視点を持つことができないかと投げかけられました。ウクライナの学校の事例を取り上げながら、学校がこどもたちにとって行きたいと思える安心安全な場になることができる可能性について述べられ、本ワークショップの参加者は「居場所」でそうしたノウハウがあるからこそ、学校で安心安全に過ごせることへの応用可能性を期待している旨をお話しいただきました。

一般社団法人Spice 小牧瞳さん【ちばユースセンターPRISM】

小牧さんからはユースセンターのPRISMについて、理念や立ち上げの経緯についてお話しいただきました。高校生の「室内で友達と喋れる無料の場所がほしいな」という声が、立ち上げの原動力となってきたとのことで、開館に向けて内装やロゴのワークショップを何度も開催し、運営メンバー以外の若者も積極的に巻き込みながら「こんな居場所にしたい」を叶えてきました。不登校支援といった看板はあえて掲げずに開放していることを強調しており、子どもたちが安心して自由に過ごせる場を作っています。その一方で、特別な支援の強調を掲げている支援機関の必要性も言及し、「交通費の払える範囲で、子どもたちが自由に行き来できる場を作りたい」と述べていました。

聖隷クリストファー大学 鈴木光男先生、アルテ・プラーサ 坂田芳乃さん

【アーティストとスクールマッサージ】

鈴木先生は、教育現場(学校)が硬くなってしまっている現状を指摘し、データを元に約25年間の日本の学校の現状を振り返りました。

坂田さんからは、静岡県三島市の実践を紹介として「KIDS ARTWEEKS」の内容をご紹介いただきました。これは、2週間小学校をアートでいっぱい(作品展示、アーティストトーク、ワークショップ、鑑賞授業などの開催)にするという実践で、活動を通して、自分が他の人と違っても良いと受けいれるような感覚を持ってもらえたような気がすると話しておられました。さらに、活動を通して学校の先生にも変化が見られ、こどもの作品への評価を含めた接し方について再検討する機会になったりしました。

鈴木先生は学校で抑制されているこどもたちを解放する役割が上記のアートプロジェクトにはあったと捉えており、教員やこどもたちを揺らすこと(硬さをやわらげていくこと)が重要だと述べていました。

一般社団法人栃木県若年者支援機構 中野謙作さん

長年伴走支援の現場に関わってきた中野さんからは、栃木県根沢町のフリースペース「ひよこの家」教育支援センター(適応指導教室)での活動を振り返りながら報告してもらいました。学校から2キロ以上離れた場所を探してオープンさせた「ひよこの家」は、こどもの声に合わせて町の予算を使いながら形を変えてきたといいます(給食、多目的スペース、学習スペースの設置など)。その中でも特に、表面的な学校復帰を目指さないことを大切にしており、徹底的に寄り添うことで中には「また学校行こうかな」という子どももいました。さらに、就労支援もやる中で農業等の中間就労支援にも携わっており、そこで働く若者を見ていると働く場も居場所になり得るのではと述べていました。こうした長期的な伴走支援に携わる中で、子どもが自分の意見を言える場を作ること、その声を聞いて反映させてくることが大事ではないかとお話しされていました。

いずれも貴重な実践のお話であり、グループディスカッションでは「学校との二項対立にならないよう」どのように考えていけば良いかについて活発に意見が交わされました。こどもの声を聞くというのはとても重要でありながら、それを実践していくことは容易ではないことを改めて感じ、しかし考え続けることの重要性も再確認しました。

今回このような貴重な機会をご用意くださった居場所座の皆様、また素敵な発表をしてくださった実践者の皆様、本当にありがとうございました。これからも、こどもたちの居場所がより良いものとなるにはどのようなアプローチ・実践が必要かについて、議論を深めていけたらと思います。

「湯けむりフォーラム2024」の感想と録画

これまで日本OECD共同研究の枠組みで共創をさせていただいています群馬県において、昨年12月に「湯けむりフォーラム2024」が開催され、OECD教育スキル局の田熊美保氏も登壇されました。この湯けむりフォーラムには、OECD Educatoion2030(現Education2040)が世界の国々と進めた国際共創PBLプロジェクト「プロジェクト∞無限大」に参加し、OECD本部(フランス・パリ)で開催された「生徒教師サミット」に参加した伊勢崎高校2年の原田志帆さんも参加され、サミットでの学びを、田熊さんと共に、共有くださいました。

以下、原田さんの感想と、湯けむりフォーラムの録画になります。

湯けむりフォーラムの感想  伊勢崎高校2年 原田 志帆

 私がこのフォーラムに参加して実感したことは、周囲の温かい雰囲気づくりが、多様な意見を生み出し、国を超えても共創することができるということです。湯けむりフォーラムでは、周りの人はどんな意見でも共感しながら話を聞いてくれ、私が言葉につまっても温かい目で言いたかったことがしっかり言い終わるまで待っていてくれました。発言した後には皆が温かい言葉をかけてくれて、それによって自分の意見に、より自信を持てるようになりました。また、それはパリの生徒教師サミットでも同様でした。

フォーラム中の会話で「柔らかい床で転べるようにする」「失敗を恐れない環境、失敗を受け入れられる余裕」という言葉が心に残りました。

 この経験を活かし、学校やそれ以外の場面でも積極的に周りが発言しやすく、どんな意見でも受け入れられるような環境をつくることに励んでいきたいです。

湯けむりフォーラム:SEL分科会

OECDとスコットランドから専門家を招き、エージェンシーを大切にした教育の在り方を、SELの視点から議論した「SEL分科会」のアーカイブ動画です。 「当日の熱量をそのままお届けします。」とのことですので、是非皆様も、草津に行った気分で、お楽しみください!

第1部:

【湯けむりフォーラム2024】SEL分科会 第1部|戦略企画課|群⾺県 – YouTube

第2部:

【湯けむりフォーラム2024】SEL分科会 第2部|戦略企画課|群⾺県

 

東京学芸大学高校探究プロジェクト「探究文化が根付く学校づくり」開催のご報告

2025年3月2日に開催されました、東京学芸大学高校探究プロジェクト「探究文化が根付く学校づくり」の開催報告(ニュースレター)が届きましたので、掲載させて頂きます。

OECDの田熊美保さんにもご登壇頂いたこちらのワークショップは、300人を超えるお申し込みを頂き、大盛況のうちに終わりました。

ご登壇者お1人お1人の発表、参加者の皆様のお声など、詳しく掲載頂いておりますので、ぜひこちらのニュースレターをご覧下さい!(ダウンロードもして頂けます。)

日本OECD共同研究「ポルトガル『Moimenta da Beira 校』現地視察・スタディツアー」参加者公募のお知らせ

OECD Education2030(現Education2040)「プロジェクト∞無限大」の一環で、2022年12月から、ポルトガルと日本の学校間で国際共創パイロット事業が始まりました。本事業は、2024年12月、OECD本部(パリ)で開催されたOECD Education2030 プロジェクト∞無限大:生徒教師国際サミットで幕を下ろしましたが、その後も、一部の参加校による国際共創の取り組みは継続しています。

この度、共創パートナーであるポルトガルのMoimenta da Beira School Cluster(ポルトガル北部ヴィゼウ地区にある人口約1万人の自治体Moimenta da Beiraにある学校クラスター)が、学校主催による国際ワークショップを開催することになりました。このワークショップでは、これまで時差や国境を超えて進めてきた、日本とポルトガルの新しい国際共創、学びのプロセスを振り返り、次のステージについて話し合う場になります。

ポルトガルは、国の戦略としてシティズンシップ教育に力を入れて取り組んでいます。また、Moimenta da Beira 校は、保・幼・小・中・高・特別支援が一体となり、過疎地域における地方創生、公平性を確保した学校の自由裁量の在り方にも取り組むことで、学校が地域のハブとしても機能しています。

上記国際ワークショップに合わせて、この特色ある学校視察の機会を打診したところ、学校側から快諾を得たため、日本OECD共同研究メンバーに限らず、広く公募することと致しました。

ポルトガルの「シティズンシップ教育」から日本の「歴史総合」や「公民」といった教科横断的な学習に関心のある先生や生徒、また「少子化/過疎地で、学年や校種を超えて保・幼・小・中・高・特別支援が一体となった教育エコシステムの改革」に取り組みたい学校や教育委員会の皆様と、ポルトガルへのスタディツアーを実施できればと考えております。

皆様のご応募を、お待ちしています。

詳細は、下記をご覧下さい。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000062740.html

「今さら聞けないキーワード、ゼロから捉え直そう! 〜「見方考え方」「教科横断」「日常と教科の往還」「カリキュラムオーバーロード」「教師エンゲージメント」〜 テーマ別ワーキンググループ4(TWG4) 主催」のご報告

2/20日に行われた「今さら聞けないキーワード、ゼロから捉え直そう! 〜「見方考え方」「教科横断」「日常と教科の往還」「カリキュラムオーバーロード」「教師エンゲージメント」〜 テーマ別ワーキンググループ4(TWG4) 主催」の様子をお伝えします!

こんにちは!OECD生徒部会のれいです!今回のワークショップでは「場づくりメーカー」として、そして「中教審初等中等教育部会教育課程部会を傍聴した学生」としての感想をお話しさせていただきました。

今回のWSでは教育課程という少し難しいと感じる内容であったため話しやすい環境を対話の前に作っておくことがとても大切だと感じていました。しかもそれを自己紹介に組み込むという予定であったので本当に不安でした。私は自己紹介として自分の苦手教科と大学で水産業について学んでいることをお話したあと、アイスブレイクとして苦手な教科と好きなお寿司を参加者のみなさんに聞いてみました。これがしっかりアイスブレイクになるかどうか心配でした。しかし、参加者の皆さんが積極的に回答してくださり、とても温かい空気感にすることができました。あの場の皆さんは対話を楽しもうという意識でお越しくださったので本当にいい環境で進めることができたと今振り返って思います。

「中教審初等中等教育部会教育課程部会を傍聴した学生」としての感想は「余裕のある教育課程」についてお話しさせていただきました。中教審初等中等教育部会教育課程部会では現場の先生の負担を減らすための議論が多く見られました。私は先生の負担を減らすために先生の裁量部分を大きくすることがいいのではないかという感想を持ちました。「裁量部分が大きい学習指導要領」が「余裕のある教育過程の編成」につながり、「座学だけに囚われない新しい授業の取り組み」にもつながってくるのではないかと思ったからです。しかし、その後OECDのMihoさんが「実は日本では現場の裁量が大きい」というお話をしてくださいました。これを受けて私は先生の負担を減らすということから議論に入ってしまい、生徒のより良い学びのための議論という視点が抜けていたのでないかということを考えるようになりました。先生の負担を減らす意識はとても大切です。しかし、そこにフォーカスしてしまうと「生徒のための学習指導要領」という視点が抜け落ちてしまいます。私は「先生のために」「余裕を増やす」というところから議論を始めてしまいました。もちろん必要な視点かもしれませんが、「生徒のために」「先生の余裕を増やす」という視点で考えていればもう少し違ったものになったのかもしれないと思いました。実際、私の発表の前に文科省の教育課程課の岩岡さんがお話くださったことは先生の負担を減らすことは意識しつつ、「生徒のため」という根本は大切にされていました。

教育課程や学習指導要領が「誰のためのものなのか」という視点は絶対に忘れたくないことだと痛感しました。そして今回のWSでは参加者の方もそれを実感することができたのではないかと思っています。

Ezo座「いいっしょ日誌」vol.11

皆さんこんにちは、Ezo座のなっちゃんです!
3月4日(火)に「ブレスト会」が行われました。
今回のアイスブレイクのテーマは「趣味」です!
歌を歌うこと、古着屋巡り、御朱印集め、温泉巡り、読書、グッズ収集、ドラマ鑑賞
世界を旅している動画を見る等、さまざまな楽しみがありました。
一方で、趣味が無いので見つけたいという意見や、無趣味であるという意見もありました

皆さんはどんな趣味を持っていますか?

今回のブレスト会では、2週間後に迫ったワークショップのチラシの内容決め、
プログラムの内容修正・調整を行いました。
今回のWSでは、高校生の皆さんが参加してくださるので、今までと一味違ったワークショ
ップをお届けできると思います!参加者の皆さんが、今回のWSを通して素敵な経験が出
来るよう、意見交流を重ねているので楽しみにお待ちください!
次号はいいっしょ日誌vol.12です、引き続き「Ezo座」をよろしくお願いいたします!

いいっしょ日誌vol.10

こんにちは〜!今回のいいっしょ日誌を担当するゆいです!よろしくお願いします🙇🏻‍♀️

2月13日にEzo座のブレスト会を行いました!

今回のアイスブレイクは、「学校・職場の流行り」でした。それぞれ、推し活、漫画、スマホのゲームが挙がりました。「推し活」の中でも、2次元とk-pop(ゆい)がありました!違う学校や職場でもいろいろな種類の推し活の色があって素敵だなと思いました✨️

今回のzoomでは、3月に行われるワークショップについて話を進めました。ワークショップの第一部の内容をなっちゃんと私が事前に考え、話したことについて共有させていただきました。その中で相談したいことがいくつかあり、みなさんに意見を聞かせていただきました。なっちゃんと話し合いをした時より、一人ひとりの視点の意見を多く聞くことができて、より良いワークショップになりそうだなとわくわくしました。ありがとうございました!

なんと、いいっしょ日誌がvol.10になりました。今回初めて書かせていただくのが10回目でとても嬉しいです!🫶🏻

次回もより良いワークショップになるよう、楽しんで打ち合わせしていきたいです!

プロジェクト無限大で共創しましたウクライナの学校のコーディネーターのドンチェバ氏が、パートナー校である大分東高校にも訪問されました!

プロジェクト無限大で共創しましたウクライナ側の学校のコーディネーターであるドンチェバ氏が、2025年1月末に、同志社国際高校に続き、同じくパートナー校である大分東高校も訪問し「ウクライナ侵攻と子どもたちの学校生活への影響」をテーマに講演会を行いました。大分東高校では、1年生および教職員(約100名)が参加しました。

(ドンチェバさんと、生徒教師国際サミット@パリ OECD本部にて)

ドンチェバ・イェヴヘニア氏は、長年にわたりチェルノブイリ被災地域の支援活動 に携わり、2013年より慈善基金 「チェルノブイリの被災者」 の理事長を務め、ウクライナ国内外の支援プロジェクトを主導。 英語・ドイツ語に堪能で、国際的な協力関係の構築 において重要な役割を果たしています。

大分東高校の栗木教諭からは、今回の講演会を聞いた生徒さんから、書ききれないほどの感想がありましたと、伺っています。

生徒さんの感想(抜粋):

・ウクライナのことはテレビでしか知らなかった、戦争によって私たちと同じ子どもたちへの被害が大きいことを知りました。

・戦争や環境破壊でいつも犠牲になるのは子供たちなのだと知りました。

・今、戦争を経験している私たちはこんなことが起こらないように未来を作らなければ

ならないと思いました。

・私も誰かの役に立てる人間になりたいです。

(ドンチェバ氏と、学校長・パリサミットに参加した生徒さんたち)

(ドンチェバ氏の講演の様子)

プロジェクト無限大で共創しましたウクライナの学校のコーディネーターであるドンチェバ氏が、2025年1月末に、パートナー校である同志社国際高校を訪問しました。(同志社国際高校の生徒さんのブログからの報告です。)

Ms.Doncheva visits Doshisha International from Ukraine!

同志社国際高校にウクライナからドンチェバさんが来校されました。お昼休みの時間にはウクライナの現状についての授業と平和に対する思いをお話ししてくださいました。放課後は伝統的なお守りであるモタンカづくりにも挑戦し、最後はウクライナ全土で有名なくるみ型クッキーを参加者で食べました。

 印象に残ったことはドンチェバさんが現状について話されている時に私たちに聞かれた「あなたの夢はなんですか?」という質問です。ウクライナの子供達の答えは「戦争をとめる」「平和な生活」などでしたが、いざ私たちの番となると誰も答えることができませんでした。そこで夢を持つことの大切さ、希望を忘れない大切さを改めて感じさせられました。モタンカ作りでは、みんなで好きな色を決めたりと、個性豊かな作品を作ることができました。(Minami Mitsuhata)

Ms. Doncheva visited our school, Doshisha International, on Janurary 22. She gave us a presentation about the current situation of Ukraine after the Russian invasion began during lunch break, including the damage and the changed way of life, which for us was shocking to hear. Her message to us listeners, “Study hard for the future and contribute to the society and country,” made us consider and think again about our future. Afterschool, there  was an activity to make ‘Motanka’, a traditional Ukrainian doll using colorful yarns, and also enjoyed the Ukrainian snack. The day was full of learning and made us think of ourselves and the future, but also interesting to get to interact and experience Ukrainian culture. (Takuma Fukui)

高校3年生最後の倫理の授業にも来てくれました。生徒たちの尽きない質問に真摯に答えてくださるドンチェバさんにみな心を打たれました。

千葉県立特別支援学校流山高等学園 研究開発学校 最終年度研究発表 記念イベント「ラウンドテーブル@流山高等学園」報告書

開催日: 2025 年1月23日(木) 時間: 18:00-20:00
主催:

  • 山﨑慶太郎(千葉県立特別支援学校流山高等学園)
  • 古江陽子(筑波大学附属大塚特別支援学校)
    協力: 日本OECD共同研究
    開催方法: Zoomミーティング


1. イベント概要

本イベントは、千葉県立特別支援学校流山高等学園の研究開発学校としての最終年度研究発表を振り返り、その成果や今後の方向性を議論することを目的に開催されました。日本OECD共同研究の一環として、特別支援教育の固定概念を超える試みについて、多様なステークホルダーと意見交換を行いました。


2. プログラム詳細

オープニング

進行:

  • 古江陽子(筑波大学附属大塚特別支援学校)
  • 山﨑慶太郎(千葉県立特別支援学校流山高等学園)
  • 動画①: 新領域「私の時間」実践動画〔協働編〕
  • イベント趣旨説明
  • 研究推進部の紹介と感想共有
  • OECD共同研究 月間についての説明(田熊美保氏:OECD教育スキル局 シニア政策アナリスト)
  • 参加者紹介とミニメッセージ(武富博文氏、福本徹氏、河野麻沙美氏)

第1部「特別支援教育の固定概念(あたりまえ)の壁を越える」

  • 当事者の視点からの発表(10分)
    • コヨ(卒業生)
  • 対話の時間(ブレイクアウトルーム)
    • テーマ:「特別支援教育の固定概念の壁を越えるには」
  • 全体シェアリング

【卒業生の発表】 卒業生が、特別支援教育を受けた自身の経験と、社会に出てからのエージェンシーの発揮について発表しました。特に、学習環境や支援体制の影響についての具体的な事例が示され、参加者との活発な対話が行われました。

【ブレイクアウトルームでの議論】

  • 学校の在り方が生徒の未来に与える影響
  • 支援が必要な生徒の自己決定を促す方法
  • 企業と学校の連携によるインクルーシブな社会の実現

休憩(動画②:「私の時間」実践動画〔自己分析編〕)


第2部「これからの教育を考える ~エージェンシーに関わる教育開発~」

研究発表:
「特別支援教育における、変化する社会で生き抜くための資質・能力とエージェンシーを育成する教育課程及び指導方法の研究開発」

発表内容:

  • 新領域「私の時間」のカリキュラム設計
  • 生徒のエージェンシー育成に関する実践結果
  • 卒業後の影響(社会での実践事例紹介)

動画③: 生徒インタビュー映像

当事者との対話

  • ユズ(卒業生) 

【卒業生の発表】卒業生が、「私の時間」を学んだことによる自分の変化について発表しました。特に、「私の時間」での学びについて、在学時の様子や、卒業後の生活で実際に活かしている具体的な事例が示され、参加者と活発な対話が行われました。

対話の時間:

  • 新領域「私の時間」の成果と未来の可能性
  • これからの特別支援教育に求められる支援体制

シェアタイム(メンチメーターを活用)


クロージング(リレーメッセージ)p4~p6に議事録

メッセージ登壇者:

  • 松見 和樹氏(千葉県立特別支援学校流山高等学園 校長)
  • 河野 麻沙美氏(上越教育大学大学院学校教育研究科 准教授)
  • 武富 博文氏(独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所)
  • 福本 徹氏(国立教育政策研究所 総括研究官)
  • 板倉 寛氏(文部科学省)
  • 田熊 美保氏(OECD教育スキル局 シニア政策アナリスト)

まとめ:

  • 特別支援教育におけるエージェンシー育成の可能性
  • 学校と社会の接続に向けた新たな教育アプローチの模索
  • 研究成果を広く共有し、他の学校や教育機関への展開

オンデマンドの紹介 写真撮影

イベント終了(20:00)


3. 総括と今後の展望

今回のラウンドテーブルでは、特別支援教育における「エージェンシーを発揮するための資質・能力を育成する学び」が持つ可能性と、その実践が生徒の成長にどのように直結しているかを、多角的に議論する貴重な機会となりました。流山高等学園がこれまで積み重ねてきた取り組みが、単に生徒のエージェンシーを育むだけでなく、教師のエージェンシー、さらには学校全体の共同エージェンシーへと広がりを見せていることが明らかになりました。このような連鎖的な広がりは、教育現場における相乗効果を生み出し、新たな可能性を切り拓く原動力となっていると考えます。

また、卒業生の言葉や実践例を通じて、エージェンシーの発揮が生徒の成長にどのように寄与するのかも、より明確になったことも、成果の一つです。流山高等学園の研究開発とその実践が国内のみならず、国際的な文脈でも意義を持つことが確認され、今後の展開に向けた大きな示唆を得ることができました。 

今後の展望

  1. エージェンシーの育成に向けたカリキュラムの深化
     生徒の主体性を最大限に引き出すための教育プログラムをさらに発展させるとともに、教師のエージェンシーを促進する研修・仕組みづくりを強化することが求められています。
  2. 国内外のステークホルダーとの連携強化
     今回のラウンドテーブルで得られたネットワークを活かし、国内外の教育機関や研究者、関係者と連携しながら、継続的な情報共有と研究発信が求められています。
  3. 学びの成果の可視化と社会への発信
     流山高等学園での実践がどのような成果を生み出しているのかを、データや事例を通じて明確に示し、教育界のみならず社会全体に向けた発信を強化します。これにより、エージェンシーを重視した教育の価値を広く伝え、より多くの教育現場に波及させていくことが求められています。
  4. 「ボーダレスな学び」の推進
     生徒・教師・地域・企業など、多様なステークホルダーが垣根を超えて関わり合い、相互に認め合う環境をさらに広げていきます。教育を学校の枠組みにとどめず、より社会とつながるものへと進化させることが期待されています。

今回のラウンドテーブルを一つの節目としつつも、これはゴールではなく、新たなスタートです。この先も、教育の未来を見据えながら、流山高等学園は革新的な実践を続けていくでしょう。

「誰かや、どこかに貢献できること」「相乗効果で広がること」「巻き込み、巻き込まれること」の喜びを共有しながら、より良い教育のあり方を探求し続けることが、この教育に関わるステークホルダーの使命ではないかと感じています

今後の予定:

  • 研究成果の公開(HP掲載・動画編集)
  • フィードバックの収集とさらなる実践研究
  • 全国的な展開に向けた政策提言

リレーメッセージ・記録

・松見 和樹氏(千葉県立特別支援学校流山高等学園 校長)

「エージェンシーの育成は、単なる教育手法の一つではなく、未来の社会を生き抜く力を育むための根幹です。」

松見校長は、流山高等学園の教育の柱として「エージェンシーの育成」を据えてきたことを強調。学校現場でどのように実践されてきたかを振り返りながら、卒業生の成長がその証明であると述べた。
また、「私の時間」の成果が可視化され、生徒が自分自身の学びを振り返る文化が根付いたことを評価し、今後もこの取り組みを発展させていく決意を語った。最後に、「これからも生徒一人ひとりが自らの人生を主体的に切り拓いていくことを支え続けたい」と述べた。


・河野 麻沙美氏(上越教育大学大学院学校教育研究科 准教授)

「子どもたちが自分の学びを“自分自身”を主人公にして語れるっていうことは、目指すべきゴールということを教えてもらいました。」

河野氏は、流山高等学園の教育の特徴を「枠を超えた挑戦」と位置付け、制度や従来の教育観にとらわれない柔軟な学びの場を提供していることを紹介した。特に、「私の時間」による生徒主体の学びや、ステカ(教材)を活用した振り返りが、生徒の成長を促していることを評価。
さらに、河野氏は、これまでの4〜5年にわたる関わりを振り返りながら、発表や学生のインタビューを通じて毎回心を揺さぶられると述べた。特に今回の発表では、「私の時間」で学んだことを卒業後に職場へ持ち込み、実践している姿を目の当たりにし、その変化に感動を覚えたと語った。

また、先生や生徒たちが「自分を主人公にして学びを語る」姿勢が印象的だったと指摘。これは、単に学習を受け身で捉えるのではなく、自分自身の成長として語れる環境が整っていることを示しており、その点に対して教育学者として自身も反省する部分があると述べた。

最後に、子どもたちが「自身の学びを、自分を主人公にして語れること」が一つの目指すべきゴールであると強調し、今後のさらなる発展への期待を寄せるとともに、自身も努力を続けていきたいと意欲を示した。


・武富 博文氏(独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所)

「『学びっぱなし』『教えっぱなし』ではなく、学んだことの意味や価値を咀嚼し、結晶化させることが大切です。」

武富氏は、「私の時間」が学校教育の中心となる時間として機能することの重要性を強調した。従来の学びが「学びっぱなし」「教えっぱなし」になりがちであることを指摘し、「学んだことの意味や価値を咀嚼し、結晶化させることが大切だ」と述べた。この「結晶化された学び」とは、単なる知識の習得ではなく、時間をかけて深く定着し、社会に出ても活用できる力となるものである。

また、知能には「結晶性知能」と「流動性知能」があるとした上で、特に結晶性知能は生涯にわたってじわじわと伸び続ける特性があると説明。「私の時間」の取り組みが、子どもたちにこの結晶性知能を育む基盤をもとに、学校で学んだことが社会に出てからも活用されるよう流動性知能の育成とも関連付けられていることを示したと述べた。その具体例として、発表された生徒の成長や学びの継続性を挙げ、取り組みの成果を評価した。

最後に、四年間の取り組みを振り返りながら、「この学びのあり方を提言できたことが大きな成果であり、非常に学びの多い機会だった」と述べ、感謝の意を表した。


・福本 徹氏(国立教育政策研究所 総括研究官)

「私たちの仕事は、ただ知識を伝えることではなく、生徒が『自分で考え、決めて、行動する』ことを後押しすることです。」

福本氏は、流山高等学園での実践を振り返りながら、教師の役割の変化について述べた。従来の教師は「教える人」としての役割が強調されてきたが、今の時代は「生徒の学びを支える人」に変わりつつあると指摘し、「エージェンシーの育成は、社会全体が求めるスキルです。学校だけでなく、企業や地域とも連携していくことが大切です」と述べ、教育と社会の接続の重要性を強調した。

また、教育における「モデル」の重要性にも言及した。社会には依然として旧来の学校像や教育観を引きずっている人が多い中で、新たな学びのモデルを示すことが、非常に価値があると強調。価値を理論だけでなく、実際の教育現場でどのように実装するかが重要であり、それこそが流山高等学園の取り組みの一つの大きな意義だと語った。

最後に、「教育にはまだまだ取り組むべき課題が多く、教師自身も学び続けなければならない」と述べ、教育の発展に向けた継続的な努力の必要性を改めて訴えた。「私自身も含めて、まだまだやるべき仕事はたくさんあります」と語り、教育現場のさらなる進化に向けた意欲を示した。


・板倉 寛氏(文部科学省)

「この実践は、他の国や他の学校種でも適用できる可能性を持った、普遍性のあるものではないかと考えています。」

板倉氏は、この実践は、非常にシンプルでわかりやすく、特別支援学校に限定されるものではなく、他の国や他の学校種でも実践できる普遍的な取り組みになりうると強調。他の学校が流山の取組を踏まえて実践を行なおうとする際には、手段であるカードの活用そのものを目的化することなく、実践の目的として何を生み出そうとするのかという本質を見極めることが重要であると述べた。
また、今後の展望として 二つの点を挙げた。「生徒が自身の歩みを振り返り、学びに活かすこと」と「学びの習慣化と将来への継続性」である。一点目は、高校3年間の学びを深めるには、高校在学時の振り返りのみならず、中学卒業までの経験を振り返り、自己認識する機会を持つ意義の可能性を指摘した。二点目の将来への継続性については、「学びが本当に生徒の中で根付いているのか」を卒業生や生徒の発表時に特に注目していたが、卒業生が職場でもワークシートの活用を自ら思いつき実践し、自らの成長に結びつけている姿を見て、その成果を評価した。学びが3年間で終わるのではなく、その後の人生にわたって活かされることこそが、この研究の成果として重要であると述べた。こうした変化が他の生徒にも広がる形に発展していくことが今回の研究が成功した証と言え、広く横展開される意義深いものとなることを期待するとした。


・田熊 美保氏(OECD教育スキル局 シニア政策アナリスト)

「エージェンシーは、単なる定義の適用ではなく、文化や環境に根付くことで初めて意味を持ちます」

田熊美保氏は、流山高等学園の「私の時間」の取り組みを、OECD本部で50を超える参加国で議論を重ねる「LearningCompass」や「Teaching Compass」の日本の優良事例として発信することを提案。その理由として、エージェンシー(主体)は単なる定義の適用ではなく、文化や環境に根付かせることが重要であり、流山高等学園が 4 年間をかけて独自の定義を確立し、それを実践してきた点を評価した。また、エージェンシーの本質は、単なる目標設定ではなく、その根底にある「自分が動けば社会が変わる」「自分の生活が変わる」という自己効用感を持つことが不可欠であると指摘。流山高等学園の生徒が、自己の成長を振り返りながらセルフケアやヘルプシーキングスキルを身につけていることを高く評価した。コロナ禍以降、多くの国で教師や生徒のバーンアウトが課題として指摘されており、「私の時間」の取り組みが、社会に出るために必要な力としての自己調整能力や主体性を育む点で有益であると述べた。